【東京商工リサーチ掲載記事】今ドキの若者は「土日祝日以外の休暇制度」を重視する!?選ばれる企業の条件とは<社会保険労務士小林沙奈江>
少子高齢化社会、労働者人口の減少・・・今の日本を生きるために、企業にとって欠かせないことは、「若年層の採用」。経験や熟練した技術を持つ中高年齢者層を採用したい企業もあるかと思いますが、長期的な視点から、将来の幹部候補を育てるという意味や、色のついた中途採用者よりも若くて未経験者の方が育てやすい、という理由から、若手採用に取り組む企業は多いです。
今回は、株式会社No Companyが行ったマイナビの2023年3月卒業見込みの全国大学3年生、大学院1年生の会員を対象に実施した「2023年卒 就職活動における価値観に関するアンケート」の調査結果よりZ世代※が企業を選ぶ際の条件について見ていこうと思います。
※Z世代は、1990年代後半から2010年の間に生まれた現在12歳〜24歳程度の世代と定義します。
■調査結果のポイント
まず、過去の調査「マイナビ2023年卒大学生活動実態調査(3月)」より、企業を選択する際のポイントを見ると、トップは「安定している会社(43.9%)」です。次いで、「自分のやりたい仕事」(職種)ができる会社(32.8%)」、「給料の良い会社」(19.1%)」となっています。
これを受け、今回の調査で「企業に対して安定性を感じるポイント(複数回答)」を質問したところ、結果は下記の通りとなりました。
・福利厚生が充実している 53.3%
・安心して働ける環境である 46.6%
・売上高 37.4%
・今後成長が見込まれる業界・企業である 36.0%
・業界大手である 35.5%
・離職率や平均勤続年数 35.4%
・社会の変化に対応できている 33.3%
・知名度がある 31.7%
・創業年数 30.2%
・上場企業であるかどうか 27.2%
・従業員数 23.9%
・資本金 19.6%
・多角的に事業を展開している 18.3%
・取引先に大手・有名企業がある 16.7%
・本社所在地 14.7%
・グローバル展開している 12.0%
・記事や番組、CM等メディアでの露出がある 6.8%
・株価 6.7%
「福利厚生制度の充実度によって志望度は変わりますか」の質問では「大きく変わる・少し変わる」の合計が90%以上、「福利厚生の充実度に惹かれて入社を検討した企業はありますか」の質問には約70%が「ある」と回答しています。
具体的に「重視した制度」を見てみると、下記の通りの結果となります。
・土日祝日以外の休暇制度 23.1%
・育休・産休制度などの子育て支援制度 17.1%
・住宅手当 15.9%
・資格取得補助などの自己啓発補助 14.5%
・社員寮や社宅制度 9.2%
・リモートワーク制度 6.0%
・退職金制度 5.3%
・健康増進に関する制度 3.2%
・副業・兼業が可能か 2.4%
・重視している制度はない 1.9%
・レクリエーションに関する補助 0.9%
■「福利厚生制度」を重視する若者
調査結果から、福利厚生制度の充実は企業選びのポイントになっています。その中でも、休暇制度や育休・産休等のワークライフバランス、住宅関連制度、自己啓発が上位になっています。「土日祝日以外の休暇制度」の個別回答では、バースデー休暇やアニバーサリー休暇など、プライベート重視のワークライフバランスを実現したい思いが反映されている結果かと思います。
この結果を受けて、皆様はどう思われたでしょうか?企業にとって取り組みやすいものは休暇制度の導入ですが、そもそも年次有給休暇もなかなか取得できていない、年間休日数も少ない…という企業も多いかと思います。休みを求めるなんて今ドキの子は…と思われる方も少なからずいらっしゃるかと思います(かくいう私も同感です)。ですが、未来ある若者を一人でも自社で採用し、企業運営に欠かせない存在になってもらうことは必要かと思います。そのためには彼らが求めるものを少しずつ自社に取り入れることを考えるべきなのではないでしょうか。
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