】衝撃!!未払い賃金(残業代)の消滅時効が2年から5年に延長の見込み

1.令和2年4月1日施行する改正民法に合わせ、賃金等請求権の消滅時効5年に

 令和1年5月27日労働新聞が報じたところによると、厚生労働省は、賃金等請求権(未払い残業代を含む)の消滅時効を現行2年から5年に延長すべきとする検討会提言をまとめる見込みです。この検討会は、平成29年12月に設置された「賃金等請求権の消滅時効の在り方に関する検討会」(岩村正彦座長)で、労働法学者を中心として専門的な議論をスタートし、ようやく今年に入って見解がほぼまとまりました。

 平成26年6月に公布した改正民法(令和2年4月施行)によると、特別に定めている1年や2年などの短期消滅時効を全面的に廃止し、一般債権については、①債権者が権利を行使することができることを知った時(主観的起算点)から5年間行使しないとき、または②権利を行使することができる時(客観的起算点)から10年間行使しないときに時効によって消滅する規定に統一しました。

 労働基準法第115条では、賃金(退職手当を除く)、災害補償その他の請求権(年次有給休暇含む)は2年間行使しない場合、時効によって消滅するとした短期消滅時効を定めており、改正民法に対応した見直しが必要となっていました。

 厚労省は、この提言をもとに労働政策審議会の審議を行い、法改正につなげる方針です。

2.平成31年4月1日より、働き方改革関連法により管理職の労働時間把握が義務付け

 働き方改革関連法が施行され、平成31年4月から順次施行されています。これまでも懸案とされていた残業時間について原則月45時間、年360時間、労使間合意による拡大でも年6回の回数制限に加え月100時間、年720時間を上限とし違反の場合には罰則が適用されることになります。これにより一般従業員の労働が減少した分、管理職に回ることが懸念されています。また、管理職といっても実質、一般従業員と変わらない労働を行っている者も少なくなく、こういった管理職の過重労働を抑制するために管理職についても、平成31年4月1日より企業規模にかかわらず、労働時間の把握が義務付けられました。

3.未払い残業代請求の労務トラブルが今後さらに頻発することに!!

  ◆名ばかり管理職問題がクローズアップされることに

 従来は、管理職であることを理由に労働時間の把握をしてこなかった会社も、上記の改正により労働時間管理を実施しなくてはなりません。たとえば、基本給350,000円、役職手当50,000円の支給を受けている課長が、自身は「名ばかり管理職」で、払われるべき毎月60時間分の残業代が支払われていないと請求してきたとします。

  その請求額は、

○400,000円÷173時間(月平均所定勤務時間)×1.25(割増率)×60時間(残業時間)≒173,410円(1ヶ月当たりの未払い残業代)

○173,410円×60ヶ月(5年分)=10,404,600円(5年分の未払い残業代請求額)

  となります。

 また、管理職ではない従業員の場合であっても、長時間労働の実態が常態化していれば、500万円近くの請求になると見込まれます。このような事態が、万が一我が社で起こってしまった場合、会社の経営を揺るがす大問題になることは必至です。

 4.どのように対策を講じるか

  ◆労働時間をきちんと把握する。

至極当たり前ですが、まずは自社の現状に目を背けないことです。弊所でも、未払い残業代の請求問題につき、企業様から相談をお受けしていますが、経験上、このような問題が起こってしまう企業様の特徴は、時間管理がきわめてルーズです。これは、成果に対して賃金を支払いたいのであって、会社に居た時間を基礎として賃金を支払うことに違和感をもつ経営者様の考えが反映したものでしょう。ただ、残念ながら、労働基準法では、時間(時間、日、月)をもとにして賃金を支払うのがルールになっており、これに従わないわけにはいきません。

  ◆時間当たりの生産性を意識する・賃金の支払い方を変える

・たとえば、カーディーラーの営業マンに対する販売の評価を、従前の「1ケ月に新車を5台販売ができたかどうか」という視点に、「販売台数÷当該月の労働時間」といった指標を追加するといったように、時間当たり生産性の考え方を社内に浸透させる。

・手当の中に、所定勤務時間以外の勤務に対する手当がある、あるいは含まれているとすれば、名前をつけ直したうえできちんと定義し、従業員の皆様に説明責任を果たしたのちに賃金制度を見直す。

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