】~従業員に損害賠償請求をする際の注意点①~<よつば総合法律事務所 弁護士 村岡 つばさ>

よつば総合法律事務所 弁護士の村岡つばさです。

事故を起こして車両を壊した、会社のお金を横領した、十分に引継ぎをしないまま急に会社を辞めた、退職後に競業行為をしている…等々、理由は様々ですが、「労働者に対して損害賠償請求をしたい」というご相談をいただくことも多くあります。

今回は、従業員(退職従業員を含む)に対して損害賠償請求をする際の、行為類型毎の注意点についてお話させていただきます。

①交通事故により社用車を損傷させた

過失の程度、保険加入の有無等によっても異なりますが、損害額の1割~3割程度に請求の範囲が制限されるケースが多く、裁判となった場合には、損害全額の回収が難しいことが多いです。

②会社のお金を横領した

明確な証拠がないと、「横領行為」の事実自体が認定できません。特に本人が否定している場合には注意が必要です。なお、横領を理由として懲戒解雇を行ったような事案では、横領行為の事実自体が認められないと、懲戒解雇も当然無効となるので、労働者が解雇無効を主張して、逆に会社が賠償義務を負うこともあります。

③十分に引継ぎをしないまま急に会社をやめた

損害賠償を認めている裁判例もありますが、ハードルは高いです。民法上、2週間前の退職予告で足りる(正社員の場合)と定められていることも理由の1つです。発生した損害の程度、本人の役職、退職に至る経緯、残っている引継ぎ業務等の事情も踏まえ、請求を行うかを慎重に検討する必要があります。

④退職後に競業行為をしている

そもそも競業行為を禁止する根拠(誓約書、契約書、就業規則等)があるか、競業行為の証拠があるか、会社に損害があるか、といった点が特に問題となります。これもかなりハードルが高く、請求前に慎重な検討が必要です。裁判所は、労働者の職業選択の自由を尊重する傾向にあり、「退職後〇年間は競業行為を行わない」という誓約書等を取得していても、期間、範囲が広すぎるなどとして、合意自体が無効(=労働者が競業避止義務を負わない)と判断している裁判例も多数あります。

次回は、すべての行為に共通する(一般的な)注意点についてお話させていただきます。

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村岡 つばさ
よつば総合法律事務所
弁護士
【略歴】
埼玉県戸田市にて出生
私立鎌倉学園中学校/ 高等学校卒業
早稲田大学法学部卒業 慶應義塾大学法科大学院卒業
司法試験合格後よつば総合法律事務所へ入所。
企業法務を積極的に取り組み、特に労務分野に明るく、
千葉県社労士会で講演活動を行うなど精力的に活躍中。

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就業規則 , 損害賠償 ,