【社労士のコラム】傷病手当金の受給期間の通算に関する改正法案が今国会に提出されています<社会保険労務士 石川宗一郎>
今国会において、事務手続きに関係する法案が提出されているのをご存じですか?
プライベートでのケガや病気の際の生活補償のための給付で、日ごろ、我々に馴染みの深い「傷病手当金」が変わるかもしれません。
現行では、支給開始日から1年6か月支給が受けられます。もし、1年6か月の間に、職場復帰した場合は、職場復帰している間は不支給となりますが、再度、同じ疾病・病気で休業した場合には、最初の支給開始日から1年6か月間については、支給されます。職場復帰している期間も含めて1年6か月、という意味です。
ここで、法律見直しのきっかけとなるデータをご紹介します。
傷病手当金の支給件数は、平成29年度で約190万件となっています。
協会けんぽは110万件、健保組合が70万件、共済組合が10万件です。
うち、共済組合における傷病手当金については、協会けんぽの傷病手当金の支給期間と異なり、支給期間を通算して、1年6か月を経過した時点まで支給される、という違いがあります。
今回の改正法案では、傷病手当金の支給期間について、この共済組合の傷病手当金と同じように、支給期間を通算して、1年6か月とする、という内容になっています。
今や、病気を治療しながら仕事をしている方は、労働人口の3人に1人となっており、病気を理由に仕事を辞めざるを得ない方々や、仕事を続けていても職場の理解が乏しいなど、こういった方々の仕事と治療の両立ができる環境構築を目指しているという背景事情もあります。
病気の治療というと現在は入院治療だけでなく、入院治療は短くなり、退院、自宅療養、通院治療、というステップで、仕事と病気療養を両立させながら職場復帰を目指す従業員さんが増えています。国もこの環境を後押しできるように、今回の法改正案となったわけです。
今国会での成立となった場合は、令和4年1月1日からの施行となっており、令和4年といえば、すでにもう1年を切っていることになります。
また、今国会で、男性育休の普及・促進にむけて、育児介護休業法の法改正案も提出されています。このお話は、また後日お知らせいたします。
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