】新型コロナワクチンの接種を拒否した社員を出勤停止することはできるか?

こんにちは、社労士の石川です。いよいよ新型コロナワクチンの接種が始まりましたが、予想するに・・・予防接種を拒否する事案や副反応が出てしまい出勤できない事案など、非常に悩ましい相談が増える予感がします。

本コラムでは悩ましい新型コロナワクチン(コロナの予防接種)と労務問題に関してまとめました。

①新型コロナワクチンの接種にかかる時間は労働時間として取り扱うべきか?給与は発生するか?

社労士アンサー)給与支給義務は原則ありません。定期健康診断と同じ判断となり、労働時間としては取り扱われないでしょう。ただし医療や介護などの職種で、職務命令を帯びると労働時間と判断される可能性はあります。

行政がどう見ているかというと・・・下記に引用した厚生労働省のQAにように、労働時間としては取り扱うことについては明示していません。・・・とはいえ実務対応としては勤務中にワクチン接種(予防接種)をするよう推奨し、労働時間として取り扱う企業が多いのではないでしょうか。

また2回目の接種は副反応が出やすく、体調を崩す例も報道されていることから、年次有給休暇の取得推奨や特別休暇の取得について、夏までに検討することをおすすめします。

厚生労働省QA集より<ワクチン接種に関する休暇や労働時間の取扱い>問20

自社に勤める労働者が新型コロナワクチンの接種を安心して受けられるよう、新型コロナワクチンの接種や接種後に発熱などの症状が出た場合のために、特別の休暇制度を設けたり、既存の病気休暇や失効年休積立制度を活用したりできるようにするほか、勤務時間中の中抜けを認め、その時間分終業時刻を後ろ倒しにすることや、ワクチン接種に要した時間も出勤したものとして取り扱うといった対応を考えています。どういった点に留意が必要でしょうか。

新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)令和3年5月20日時点版

<ワクチン接種に関する休暇や労働時間の取扱い>回答20

職場における感染防止対策の観点からも、労働者の方が安心して新型コロナワクチンの接種を受けられるよう、ワクチンの接種や、接種後に労働者が体調を崩した場合などに活用できる休暇制度等を設けていただくなどの対応は望ましいものです。

また、

①ワクチン接種や、接種後に副反応が発生した場合の療養などの場面に活用できる休暇制度を新設することや、既存の病気休暇や失効年休積立制度(失効した年次有給休暇を積み立てて、病気で療養する場合等に使えるようにする制度)等をこれらの場面にも活用できるよう見直すこと、

②特段のペナルティなく労働者の中抜け(ワクチン接種の時間につき、労務から離れることを認め、その分終業時刻の繰り下げを行うことなど)や出勤みなし(ワクチン接種の時間につき、労務から離れることを認めた上で、その時間は通常どおり労働したものとして取り扱うこと)を認めることなどは、労働者が任意に利用できるものである限り、ワクチン接種を受けやすい環境の整備に適うものであり、一般的には、労働者にとって不利益なものではなく、合理的であると考えられることから、就業規則の変更を伴う場合であっても、変更後の就業規則を周知することで効力が発生するものと考えられます(※)。

こうした対応に当たっては、新型コロナワクチンの接種を希望する労働者にとって活用しやすいものになるよう、労働者の希望や意向も踏まえて御検討いただくことが重要です。

※ 常時10人以上の労働者を使用する事業場の場合、就業規則の変更手続も必要です。

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②新型コロナワクチン接種で副反応が出て出勤できない。会社はどうするべきか?

社労士アンサー)当然ですが、出勤を強制することはできません。一般的な病欠と同じように取り扱うべきでしょう欠勤が連続4日(公休日)を超える場合は「傷病手当金」の申請ができます。

なお傷病手当金と通常、社会保険の健康保険加入者向けの制度ですが、フリーランスや自営業。短時間労働者の国民健康保険の加入者であっても、新型コロナ感染等で特例的に給付されるケースがあります。

加入されている国民健康保険の市区町村窓口に確認してみることをおすすめします。

新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金支給制度のご案内(千葉市)

千葉市国民健康保険に加入している被用者のうち、新型コロナウイルス感染症(発熱等の症状があり感染が疑われる場合を含む)により労務に服することができず、給与等の全部又は一部の支払いがされていない方。

千葉市ホームページ

③新型コロナワクチン接種を拒否した従業員を出勤停止や懲戒できるか?

社労士アンサー)基本的には出勤停止できないと思われます。出勤停止をした場合は休業手当の支給義務が生じる可能性が高いでしょう。ただし、業務関連性があるもの(医療、介護等)の場合、出勤停止が正当性を持つ可能性があります。

接種状況のアンケートを取る、必要に迫る、シフトを外す等は、ワクチンハラスメントとしてパワーハラスメントの「個の侵害」に該当するリスクや休業手当の支払い義務が生じる可能性があります。

新型コロナ感染症が流行し始めた際に「マスクを付けない社員を懲戒できるか?」と似た問題がありましたが・・・これに関しても会社はそれほどハードな対応は難しいと思われます。

<厚生労働省 新型コロナワクチンQAより>

Q)新型コロナワクチンの接種を望まない場合、受けなくてもよいですか。

A)接種は強制ではなく、あくまでご本人の意思に基づき接種を受けていただくものです。

新型コロナワクチンQA

なかなか目に見えない新型コロナに関して白黒つけるのは難しく、人事労務を担当する方の悩みは尽きないでしょう・・・

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